不器用さについて
「困りごとはなんですか?」
「不器用なんです。」
よくあるやりとりです。
不器用は手先が器用ではないこと
器用は
からだを思うように動かして、芸時・工作などをうまくこなすこと。
引用 コトバンク
他にも様々な意味があるが、やり取りの中で出てくる不器用はこれにあたります。
「など」の言葉の中に食事や鉛筆動作、はさみ等が含まれます。
- 自分の体を上手く使えない
- 道具を上手く使えない
ということで困っている保護者やお子さんがいます。
この不器用について、保護者からは指先が上手く使えないという理由で聞くことが多いです。
確かに、ヒトは生まれた時から大人の時の手先の能力を持つわけではありません。
生まれて初めて使うスプーンの使い方が上から握りこむように使うことから分かるように動作の獲得は大きな動きから始まります。
大きな動きをたくさんして、徐々に細かい動きが出来るようになっていくものです。
その手先の成長がゆっくりのお子さんがいらっしゃるので、
手先の動きが上手じゃない→不器用
という流れです。
しかし、お子さんたちの様子を見ていると手先だけが不器用の理由ではないことを感じます。
頭で考えることが苦手なことも不器用につながる
ヒトは脳を発達させることで発展してきた動物です。
カードゲームやテレビゲームの様に体を多く使わなくても頭の中で楽しむことが出来ます。
身体機能では自然界で劣るヒトでも物理環境に適応する行為機能はトップになります。
人が行う行為には、以下の過程があります。
- 認識
- 観念化
- 企画
- 実行
お箸操作の開閉のみを例に確認します。
認識
道具の存在を認識することです。
お箸に気付かないとお箸を使うことは出来ません。
観念化
お箸を使って食べ物を挟もうという行為のアイディアを浮かべます。
企画
どのように動きの組み立てをするか、順序を考えます。
- お箸のどの部分を持つか
- 親指で箸を押さえる
- 人差し指と中指を動かす
など道具と自分の体の関係を考えたり、自分の体がどの程度動くのかを理解していることが必要です。
実行
企画した内容を実際に行います。
実行後に振り返りが行われます。上手くいかなければ、力加減や手の角度等を調整していきます。
行為を行うには上記の内容が頭の中で行われています。
不器用な子どもの中には、手先が動かしにくく実行でつまづく子もいますが、企画が苦手な子どももいます。
企画が難しいこともある
企画が苦手な子どもには
- 道具を持つ位置が定まらない
- 道具の動かし方のイメージが湧かない
といったことが臨床で見られます。
企画が苦手な子どもには療育場面で企画の手伝いを行います。
- 動作手順を伝える
- 目印等道具に工夫をする
動作手順を伝える
動作手順を伝える時は動作を再分割します。
お箸の開閉動作の時に
- 親指で押さえる
- 人指し指と中指を動かす
という手順の親指を忘れるので、お箸がズレてしまうことがあります。
- 親指を押さえることを伝える。
- 一緒に支えて親指を意識してもらう
など動作の手順を頭に浮かべることの手伝いをします。
目印等道具に工夫をする
- 鉛筆の上を持って書くから動作が安定しない
- お箸の根元を持つから開閉がしにくい
など道具と自分の関係性を上手く作れないから動作が行いにくことがあります。
シール等で持つ所を伝える。持つ所を意識することの手伝いを行います。
まとめ
不器用にも理由が様々です。
今回は企画へのお手伝いを考えましたが、認識や実行、観念化に苦手さを感じる子もいます。
子どもの様子を確認し、何が苦手を考えることが大切になってきます。
参考文献
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今後も臨床の振り返りを行っていきます。
それではまた。