スプーンの持ち方も発達の状況に応じて変わってきます。
上手くなれば上手くなるほど、食べこぼしが減ったり、食事に意欲が出たりします。
スプーンの持ち方にどんな種類があるのかを順に見ていきます。
スプーンの持ち方
スプーンの持ち方は手の発達段階によって変わっていきます。
それぞれの持ち方に名前がついているので、確認していきます。
動的3指持ち
大人のスプーンの持ち方は、3本指で持って手首や指先を使って操作します。
この持ち方は、お箸操作や鉛筆操作にもつながっていくので目標にしたい持ち方です。
しかし、最近は手を使う頻度が減っていることもあり、大人でもこの持ち方が出来ない人が増えています。
手の機能の前提
親指と人差し指、中指の3本指での操作が上手くなるためには、薬指、小指が安定していることが前提です。
大人でもスプーンを使いながら薬指と小指を伸ばすと使いにくくなります。
それは親指の筋肉と小指の筋肉の一部が連結しているためです。
- 薬指と小指が軽く曲げて安定させて使うこと
- 親指、人差し指、中指と薬指、小指が分けて動くこと
この二つが大切になってきます。
①手掌回内握り
スプーンの持ち始めは手掌回内握りになります。
手の平を下にして全ての指を使って持つ持ち方です。
手掌回内握り
特徴
①指の細かい握りが出来ないから手の平全体を使って握る
②指で操作が出来ないから肩や肘を使う大きな動きで操作をする
ことが挙げられます。
まだ手を使うことが安定していないので腕全てを使って操作します。
動きが大きいので食べこぼしも増えます。
手首の動き
スプーンで食べ物をすくい上げるためにはスプーンを下から上に動かします。
その時の動きは前腕(肘から手首)を使います。
手掌回内握りでは、前腕の動きは大人のスプーンの持ち方の時の動きに似ています。
手の平を上にする「手掌回外握り」は前腕の動きが変わってくるので、練習する必要はありません。
手掌回外握り
移行持ち(手指回内持ち)
人差し指だけ分離して持つようになります。
まだまだ指先は使えません。
手指回内握り ちょっと書けないです。
特徴
- 手首の動きがすこし出てきます。
- 親指はスプーンを支える、小指は手を安定させる働きをします。親指と小指の役割が分かれます。
すこし細かい動きが出てきます。
この先のスプーンの使い方では親指がスプーンを支えることが大切です
その第一歩目がこの持ち方、大事な移行期間です。
遊びの提供
この時期(手掌回内握り、移行持ち)の遊びは
- 手に力を入れること
- 手をいっぱい使うこと
が大切です。
手全体の安定が必要なので、安定させるためのパワーをつけます。
- 新聞紙を丸めてギューッとする
- 棒を振り回す
- ジャングルジムに昇る
手に力を入れる遊びをどんどんしましょう。
また、手を使う機会を増やせば増やすほどよいので、積極的に手の届く位置にモノを置きましょう。小さすぎるものをフリーに取れる状況にしてはいけません。
飲み込みますので。
子どもが自分の遊び道具に選ぶのは自分が使うのにちょうどよいものです。
何が好きか観察してみましょう。
側方つまみ
親指と人差し指がくっついていない。
特徴
- 前腕(手首から肘)が良い位置に近づく。
- 親指の使い方が大人の持ち方と異なる。
親指を手の平に付ける力を使って押さえる。
そのため、指先での操作が行いにくい。
お子さんによってはこの状態でも人差し指と中指の操作が行える子がいるようです。
- 洗濯ばさみの開閉
- 太いマジックで遊ぶ
親指の先と他の指の先をくっつけるような動き(対立)でスプーンを抑えることが目標になります。
静的3指持ち
特徴
- 親指と人差し指の間で支えることが出来る。
- 親指と人差し指の先がくっついてくる。
- 指先の動きは出にくい。
- 手首の動きは出てくる。
- お箸の導入の開始はこの時期が良い。
遊びのアイディア
- 小さいモノをつまむ。
- 細いモノを持つ。
たくさん指先を使うのが目的です。
動的3指持ち
大人と同じ持ち方です。
特徴
指先の動きも出てきます。
持ち方完成です。
まとめ
持ち方によって、目標が変わってきます。
- 力を入れる
- 支えを作る練習をする
- 親指の動きを促す
- 指先を使う
順番を跳ばすと手の使いにくさにつながるので、一つずつ積み重ねていきたいものです。
今回は絵を書くことに必死になりました。
今後もスプーンなど生活に関連する道具についてまとめていきます。
それではまた。
参考文献:発達が気になる子へのスモールステップで始める生活動作の教え方
鴨下 賢一著
保育に役立つ!子どもの発達がわかる本 金子 竜太郎著