心の理論について
生まれたばかりの子どもは相手に気持ちがあるということが分かりません。
- 自分が見えている世界は皆も見えている
- 自分が経験したことは、たとえその場にいなくても相手が知っているように話をする
自分の世界と相手の世界が違うことに気づかない時期があります。
しかし、少しずつ自分と他人が違うことに気づいていくのが発達です。
指差しを通じて、母の世界を自分の世界に近づけようとしたり、
ごっこ遊びを通じて、目に見えない世界を楽しんだりして少しずつ見えない相手の心を意識していきます。
そうして4歳ごろに他人には他人の心があることが分かり始めます。
その力は【心の理論】と名付けられています。
心の理論は相手の心を推し量ろうとする力です。
では、心の理論が形成された瞬間から人の気持ちが分かるようになるのか!?
もちろん、そういうわけではありません。
表情やしゃべり方から
怒っているんだろうな、とか
悲しんでいるんだろうな、とか
そういったことは分かるでしょう。
しかし、まだまだ相手の心を推し量りきることは4歳や5歳では難しいです。
「どうしてお父さんが怒っているのか分かるか?」
この問答は園児には難しいでしょう。
むしろ、大人になっても100点の答えは難しいでしょう。
心の中が分かるのは本人だけだからです。
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日々の学びが心の理解に繋がる
4歳ごろには簡単な内容なら人には人の心や考えがあることが分かりだします。
しかし、複雑な内容になるとまだまだ理解できません。
複雑な内容を理解しだす年齢は、9歳や10歳ごろからと言われています。
書籍[子どもの「10歳の壁」とは何か?]ではこういった記載があります。
いろいろな経験をもとに、心がどのような行動をするのかといった推測を重ねながら、ある規則性を理解していきます。
たとえば、「友達は、さびしいときはいつも体育館の裏で、壁にボールを当てて一人キャッチボールをしている」などと理解していくわけです。
こうした推測ができるようになるのは、それまでに、何度もそうした友達の状況を目にしていたり、エピソードがあったことから、こうした安定した知識になるわけです。
そういった知識の積み重ねが一般的な規則性の理解に繋がっていくと書籍には書かれています。
- 会議で話をした時に上手く伝わっていないような違和感
- ジョークを言ったけどすべった
これらを分かるようになるためには、自己の体験や周りの人のアクションの観察を積み重ねることが大切ということです。
積み重ねが難しい人たちもいる
人の心の中を推し量るためには知識の積み重ねが必要なことが分かりました。
私は仕事がら発達障がいを呈する子たちと関わっていますが、その積み重ねが苦手な子たちが多いです。
心の理論が未形成であったり、不注意で場面を見落としたり、イメージをする力が乏しかったり様々な要因が絡み合います。
- 見えないものが予想できない
- 言葉からイメージが出来ない
- 出来事に気づかない
分からないことは積み重ねられません。
そういった子たちとの関わりで気をつけていることは
- 感じたことを言葉にする
- その場で伝える
という点です。
低年齢の子には「○○言われて嬉しい」くらいの簡単なこと。
高年齢の子には「〇〇が△△だったから悲しい」エピソードを交えた複雑なこと。
伝え方は変えていますが、感情を伝えるようにしています。
もちろん、怒った時も「怒った」と伝えています
すこしでも彼らの積み重ねに協力できますように。
今後も書籍から学んだ内容を臨床を通じて振り返っていきます。
それはまた。