原始反射について
赤ちゃんは生後から体の色んな部位を動かします。
その運動は2種類あります。
一つは自発運動、もう一つは原始反射です。
- 自発運動‥周りの刺激に関係なく行われる運動 生理的微笑とか四肢の曲げ伸ばし等
- 原始反射‥特定の感覚刺激によって行われる反射運動
原始反射は以下のように考えられています。
個々の原始反射の発生学的な意味は必ずしも明らかになっていないが、栄養の摂取や危機の回避など生存に直結する保護的なメカニズム(機制)であることは間違いない。
引用 発達障害と作業療法[基礎編] 岩崎清隆著
例えば
吸啜反射
(0歳から始まり、6、7ヶ月ごろに消失)
口に入ってきたものを強く吸う反射
これは、おっぱいを吸うための反射です。赤ちゃんの口に指を入れると強く吸われるやつですね。
これがあることで生後すぐに乳が飲めます。まさに生存に直結するメカニズムですね。
新生児のころは、体を丸める方向に力が働きます。原始反射を通じて体を曲げて、伸ばしてを繰り返して、体のコントロールが出来るようになり、重力に抗った運動が行えるようになっていきます。
原始反射の残存
原始反射は回数チケット制と聞いたことがあります。
たくさん行っていくことで統合されて消失されていきます。
赤ちゃんが座ってから四つ這いになろうとする時にお尻が上がらないのも、原始反射の一つですが、少しずつお尻が上がり、ハイハイを行っていく過程でコントロールが上手になっていきます。そのため、ハイハイを行わず、いざるように移動を行い、伝い歩きを始めると原始反射が統合される前に次の課題に向かうことになります。
そういったお子さんの中には、原始反射が残存したまま大きくなっている子がいます。
残存している反射で多く見る物の一つに対称性緊張性頸反射(STNR)があります。
対称性緊張性頸反射(STNR)について
STNRはうつ伏せで頭を上に伸ばすと、腕が伸びて、足が曲がる。頭を前に倒すと腕が曲がって、足が伸びるという反射です。
4~6か月で始まり、8~12ヵ月で消失します。
赤ちゃんが座って手を着いている時にお尻を上げようとするけど上がらないやつですね。
残存している児童の様子
頸の動きに合わせて起こる反射です。
天橋立の股を覗き込むような動きをしてもらった時に、股を覗き込めない子がいます。
写真の方は、頭の重みを支えるための作戦として膝を曲げていますが、覗き込めない子がいます。(膝の筋の硬さとかは関係なくです。)
股を覗き込むときに首が曲がるので、足が伸びてしまい、覗き込めません。
結果、膝をカクンと曲げて覗き込むます。
また四つ這いをする時にお尻が上がらない児童もいます。
授業中であれば、字を書くときに下を向くので足が伸びていき、お尻が前にズレる子もいます。
STNR残存の影響
人間脳を育てる 動きの発達と原始反射の成長 灰谷孝書 ではSTNR残存の影響をいくつか挙げています。
- 猫背になりやすい
- 背中を反りすぎる
目
- 遠近調節機能の獲得に遅れがある。(黒板の文字を見てからノートに字を書くのが苦手とか)
時には、前頭葉機能が働きにくいこともあります。
座り続けることに影響すると、集中力にも影響します。
見るのに影響が出ると字を思うように書けないことにもつながります。
前頭葉機能に影響があると計画的に活動することや抑制をかけることにも影響してきます。
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統合するための遊び
先程もあったように原始反射は回数チケットです。誘発する動きをたくさん行い、コントロールを促します。
股のぞき
児童の様子を見る時にもあった股のぞきは抑制する遊びに繋がります。
股の間からジャンケンをしたり、股の間からカードを見てもらうなどしながら抑制をかける遊びになります。
ストレッチングキャット
ストレッチのストレッチキャットは四つ這いで脊柱をコントロールする練習になります。
この姿勢を保つことが難しいですが、反射を出しながら、コントロールしていくことが大切です。
雑巾がけ
雑巾がけの動きはハイハイに近い動きです。力のコントロールが出来ずこけたり、短い距離しかできない場合もありますがたくさん行うと良いです。
以上になります。
今後も原始反射で気になったことがあればまとめていきます。
それではまた。
参考文献
保育のための発達心理学
発達障害と作業療法[基礎編]
人間脳を育てる 動きの発達と原始反射の成長
トコちゃんベルトの青葉 視知覚(ビジョン)・協調運動の発達を促す育児支援 -寝返り・ハイハイの重要性を考えよう⑤