犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉より
本日は、こちらの本から
犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉
出口 保行 著
いくつかの言葉を例に挙げて子どもへの関りを考える書籍です。 |
事前予見能力とは、非行・犯罪臨床場面の中で良く用いられる言葉でいわゆる「先を読む力」のことです。少年非行の場合は、今現在の置かれた状況を理解する現実吟味能力も乏しいのですが、さらに乏しいのが、この事前予見能力になります。
私たちは通常、先を読みながら行動をしているものです。現在の行動がこの先どのような結果につながるのかを考えて。行動の方針や方法を決定しています。
第2章「早くしなさい」が先を読む力を破壊するより引用
少々過激なタイトルですが、伝えたい内容は共感されます。
今回は非行少年を例に挙げておりますが、発達が未熟な子どもたちにも当てはまる内容です。(発達障害ではなく、すべてのお子さんです)
そもそも先を読む力というのは生まれてすぐに養われているものではありません。
3才頃からすこしずつ考える力がついていきます。
3才といえば、言葉で表現できる文が増えて、聞く時には何かをしながらでも話を聞くことが出来ます。
また○○のつもりと絵を描くこともあります。
情報をとる力もついて、考える力を持ち、頭の中で思考する。このような力が身についてきている時期だからこそ、頭の中で情報を統合することが出来てくるのでしょう。
そして、大きくなるにつれて、その力は大きくなり、考えることが出来る時間軸も増えていきます。
先のことを考えて行動するためには
書籍にもあったように、先のことを考えることは、行動の方針や方法を考えることが必要です。
そのためには、情報が必要です。
例えば、ライブに行くことを考えると
目的はライブを楽しむこと
そのためには開演時間までには着くのが必要
そのためには家からライブ会場に行くのにどれくらいの時間がかかるのか
どの交通手段で行くのがよいのか
何時までに昼ご飯を食べなくてはいけないか
などの情報収集をして整理して考えることが必要になります。
そして、それを実行することが必要になります。
立てた計画の道中で初めて見るアイスクリーム屋さんを見かけて寄り道をしたり、疲れたから休憩をするとライブの時間に間に合わなくなるかもしれません。
先のことを考えて行動するためには、
- 方針決定
- 情報収集
- 情報整理
- 実行する力
が必要になってきます。
先のことを考えることが苦手な子
子どもの中には先のことを考えることが苦手な子もいます。
しかし、一概に苦手と言っても何が苦手かは人それぞれです。
- 方針決定
- 情報収集
- 情報整理
- 実行する力
方針決定→何をする時かが分からない
情報収集→周囲に注意を向けることが苦手
情報整理→情報を踏まえてどう行動するか
実行する力→注意がそれやすい
何が苦手かによって手伝いの仕方が変わります。
療育場面で、友達が待っていても、一人であっても遊びまでの準備をのんびりとするお子さんが多くいます。
しかし、ある子に「何分くらい出来そう」と聞き、考えてもらうといつもより早く出来ていました。
手を洗って遊ぶという方針決定をすることは出来ます。
友だちが待っている状況と言うことも分かっています。
早くすることが出来るので、実行する力があることが分かりました。
ただ、情報を整理して行動を組み立てることが苦手なことが考えられます。
次回は「友達が待っているけど何分くらいで手洗い出来そう?」
と伝えると情報整理の練習になるかもしれません。
ヒトの能力は使うモノは延びていきますが、使わないモノは衰えていきます。どのような経験を促すかが大切になってきます。
子どもの機会を奪わず、関わり方を考えていきたいモノです。
今後も、書籍の情報から臨床の関わりを考えていきます。
それではまた。