【作業分析】上手く出来ないは何が出来ない?作業療法士の作業の捉え方!

上手く出来ない作業について

子育てをしていると、子どもが上手く出来ない作業に直面する機会と日々対面します。

着替え、食事、トイレ、お風呂、歯磨き‥今から色んな動作を獲得していく子どもたちにとって、初めて出会うこと、初めて行うことが多く、その度に作業に挑戦をします。

それは、大人も同じで仕事や趣味など初めての作業には四苦八苦して挑みます。

大人の場合は、経験したことが多かったり、ルーティンで行っていることが多くあります。人間の脳は楽をしたいので、自然と同じことをしたくなるものです。

しかし、子どもたちは日々未知との遭遇を経験します。

喜び、驚き、悔しさ等色んな感情で未知と関わるのです。

何が上手く出来ないのか

一言で上手く出来ないと言っても上手く出来ない内容は実は人それぞれです。

着替えが上手く出来ないといっても上手く出来ないことは人によって変わります。

  • シャツを着るのが難しい
  • ズボンをはくのが難しい
  • 服を頭から被るのが難しい
  • 片足立ちでズボンをはくのが難しい
  • ボタンを留めるのが難しい
  • どの手順からするのかを考えるのが難しい
  • 服を選ぶことが難しい
  • 服を着ると動機づけをすることが難しい

その人の年齢や心身の状態、趣味趣向によって作業が上手く出来ない理由は変わります。

何が上手く出来ないかを考えるためには作業を分析していくことがヒントに繋がります。

作業分析の視点

作業を分析するためには作業を色んな視点から考えることが必要になります。

県立広島大学の教授で作業療法士の吉川ひろみさんは、著書の「作業」って何だろう

にて作業を5つの階層に分けています。

 

  1. 作業
  2. 活動
  3. 課題
  4. 行為
  5. 随意運動と精神活動

 

階層性を知ることで作業の捉え方、考え方の視点が広がります。

作業

作業(occupation)は、個人と文化によって価値と意味を与えられる活動の集合です。

一番大きな作業の捉え方です。

 

着替えが出来ない!

 

となった時の着替えがこの作業に当たります。

この着替えという作業の中に

  • 上着を着る
  • ズボンを履く

などの活動が含まれます。

まだこの段階では何が出来ていないかは分かりません。

活動

活動(activity)は、特定の終了や成果を得る課題の集合です。

上着を着るという活動には、
  • 服をだす
  • 肌着を着る
  • トレーナーを着る

などの課題が含まれます。

少し作業が細かくなってきました。
服が高い所に片付けられていたら、背の低い子には片付けしにくいかもしれません。
背が大きくなってきている子には服が小さくなってきてトレーナーが着にくいかも知れないなど、人によって課題が変わってきます。
もう少し分析していきます。

課題

課題(task)は、より小さな成果を得る行為の集合です。

肌着を着るという活動の中の課題には、

  • 袖に腕を通す
  • 襟に頭を入れる
  • 服を降ろす

などの行為が含まれます。

課題が上手く出来るようになるには、行為が上手くいく必要があります。

何を手伝うのか、何の練習していくのかがぼんやり見えてきました。

行為

行為(action)は、意識的な目的をもった運動や思考のパターンです。

袖に腕を通すという行為の中には、

  • 袖を持つ
  • 袖の服に合わせて手を伸ばす
  • 袖口を引っ張る

などの随意運動と精神活動が必要になります。

服の種類や急いでいる時とのんびりしている時などで行為の難易度は変わってきます。

随意運動と精神活動

随意運動(voluntary movement)は、筋収縮と関節運動です。精神活動(mental process)は、情報処理のような認知プロセスや思考です。

袖を持つためには、

  • 袖口のどこを持つのか見て考える力
  • 袖口を持つための手の力
  • 袖口と手を合わせる力

が必要です。

また好きな遊びをしに行く時に行う着替えの動作と嫌なことをしにいく時では着替える時の気持ちや動きが変わってきます。

 


 

行為と随意運動と精神活動まで考えると何が上手く出来ないか見えてくる

着替えが出来ない!

着替えという作業にもさまざまな階層がありました。

行為や随意運動と精神活動の階層まで考えていくと、

  • 何が出来ていないのか
  • 何を練習したらよいのか

といったことが考えやすくなります。

 

息詰まった時には、一度考え直すことで解決することもあるかもしれません。

学校や生活の場面でも作業を分析していくことで突破口が見えることもあります。

 

今後も臨床の中で感じたことをまとめていきます。

それではまた。

 

作業のやる気についてはこちらから

 

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